■住宅性能評価書とは・・・

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カテゴリー: 不動産の豆情報

住宅の設計や施工について客観的な基準で評価する「住宅性能評価」。その結果が記されたものが「住宅性能評価書」です。

家を建てたり買ったりする際に、住宅性能評価書を取得することは義務ではありませんが、主に下記のようなメリットがあります。

①注文住宅を建てる場合 ー 耐震性能や耐火性能、省エネ性能などが希望するレベルになるよう設計されているか、施工されているかを専門家にチェックしてもらえます。

②分譲住宅を買う場合 ー 客観的な数値で性能が表示されているので、自分の希望に合う住宅を選ぶことができます。また、住宅の性能が同じ基準で評価されているので、異なる建設会社の住宅の性能の比較が可能になります。

③中古住宅を買う場合 ー 住宅の劣化や不具合の状況を購入前に把握することができます。

※欠陥住宅問題から生まれた「品確法」を解説

「住宅性能評価書」について説明する前に、まずはその土台となる法律「品確法」

かつて、欠陥住宅問題が表面化した時代がありました。そのため、解決策として、

1999年に消費者保護を目的とした「住宅の品質確保の促進等に関する法律」が成立し、

翌年の2000年に施行されました。これがいわゆる「品確法」(住宅品確法)です。

品確法が目的とするのは、良質な住宅を安心して取得できる住宅市場が当たり前になることです。この法律は、以下の3つの柱で構成されています。

①10年間の瑕疵保証:住宅の基本的な構造部分の瑕疵※(かし=欠陥)担保責任期間10年間の義務化

②住宅性能表示制度:住宅の性能をわかりやすく表示する制度の制定

③紛争処理体制:欠陥住宅などのトラブルを解決するための指定住宅紛争処理機関を整備

※2020年の民法改正で、民法本文では「瑕疵」という言葉は使われなくなり契約不適合責任という言葉に置き換えられているが、品確法では継続して「瑕疵担保責任」という言葉が使われている

※住宅性能表示制度、住宅性能評価書とは?

購入したり建てたりするなら、性能が高く、安心して住める住宅を選びたいものです。そんな消費者のニーズに応えるため、各建築会社が研究や実践を積み重ね、「高性能」と謳う商品を提供しています。しかし、以前は性能に関する基準が定められていなかったため、「高性能」といってもレベルはさまざま。家を建てる人、購入する人にとっては、その住宅がどの程度の性能なのかを判断したり、比較したりすることができませんでした。
そこで、客観的な数値で表示できる項目を中心に、第三者の登録住宅性能評価機関が法律に基づいて評価・表示する「住宅性能表示制度」がつくられました。

「住宅性能評価書」は、この「住宅性能表示制度」による評価の結果、交付される評価書のことです。

※新築住宅は10分野の性能が評価・表示される

住宅性能評価では、どのようなことを調べるのでしょうか。

新築住宅の場合は下の表のように「10分野」に評価・表示のための基準が設けられています。このうち、必須分野は4つ。それ以外の分野は評価を依頼する人が任意に選ぶことができます。

「必須項目は『構造の安定』『劣化の軽減』『維持管理・更新への配慮』『温熱環境』です。

■新築住宅の性能評価分野 ★は必須
性能評価の分野 主な表示項目
構造の安定(耐震性)★ 地震や風、積雪に対しての建物の強さを評価。耐震性については倒壊や損傷にしにくさを1~3の等級で表示。等級1は建築基準法レベル。等級3は等級1の1.5倍の強さ
火災時の安心 火災の早期発見のしやすさや、外壁や窓がどれくらいの時間、火熱に耐えられるかなどの7項目を評価
劣化の軽減(耐久性)★ 住宅に使われる材料の劣化の進行を遅らせるための対策がどの程度されているかを等級1~3で表示。等級3は3世代(おおむね75~90年)まで構造躯体がもつことを想定
維持管理・更新への配慮★ 点検口が配置されているかなど、給排水管、ガス管の点検、清掃、修繕のしやすさを等級1~3で表示
温熱環境・エネルギー消費量(省エネ性)★ 住宅の外皮(外壁、窓など)の断熱性能を等級1~4で表示。また、エネルギー消費量性能を等級1~5で表示
空気環境 室内への有害物質の発散量の少なさを等級1~3で表示。化学物質の濃度を実測して表示することも可能
光・視環境 部屋の広さに対する窓の大きさの割合から、室内の明るさを表示
音環境 窓やドアなど開口部の遮音性能や、共同住宅の場合は上下または隣接住戸への音の伝わりにくさを評価
高齢者への配慮(バリアフリー性) 手すりの設置や段差の解消など、高齢者などへの配慮のための対策が講じられているかを等級1~5で表示
防犯 住宅への不法侵入がないよう、開口部に対策がされているかを評価

※住宅性能評価書を取得するメリット

●住宅の性能がわかりやすく表示される

【新築】耐震性や耐久性、省エネ性など、目には見えない住宅の性能が、等級や数値などで表示される安心感があります。

【中古】現況検査で住宅の劣化具合や不具合が確認できるほか、オプションで耐震性や耐久性、省エネ性などを等級や数値で確認できます。

●第三者の専門家によるチェックが受けられる
【新築】新築の場合は、希望の性能が設計に反映されているか、設計通りに施工されているかを第三者機関の公正なチェックを受けることができます。特に現場検査は数回行われるため、完成後は床や壁等で見えなくなってしまう箇所も確認してもらえます。

●住宅ローンの金利引き下げの対象になる
【新築・中古】【フラット35】の場合、当初一定期間の金利が引き下げになる【フラット35】Sや【フラット35】S中古タイプを利用することができます。また、金融機関独自の住宅ローンでも金利引き下げの対象としている場合があります。

●地震保険料の割引がある
【新築・中古】耐震等級に応じて、地震保険料が10~50%割引になります。

●贈与税の非課税枠が拡大される
【新築】親や祖父母から住宅取得資金の贈与を受けた場合、省エネ性、耐震性などに優れた住宅の場合、贈与税の非課税枠が拡大されます。

【中古】売主が事業者(不動産会社など宅地建物取引業者)で消費税率10%で取得し、取得の日以前2年以内または取得の日以降に建設住宅性能評価書取得のための調査または評価がされた場合が対象。

●トラブルの際に紛争処理機関を利用できる
設計住宅性能評価書と建設住宅性能評価書の両方を取得した「新築住宅・中古住宅」については、万一、建築会社等とトラブルになった場合、建築士や弁護士による電話相談や対面相談などが無料で受けられるほか、指定住宅紛争処理機関(全国の弁護士会)*に紛争処理を申請することができます。評価書の内容だけでなく、請負契約・売買契約に関する当事者間のすべての紛争が対象で、紛争処理の手数料は1件当たり1万円です。
*裁判によらずに住宅の紛争を円滑・迅速に処理するための機関

※上記内容はリクルート様より引用しております。