土地登記は相続3年内に、違反なら過料 法制審答申・・・

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※法制審議会(法相の諮問機関)は10日、相続や住所・氏名を変更した時に土地の登記を義務付ける法改正案を答申した。

相続から3年以内に申請しなければ10万円以下の過料を科す。

所有者に連絡がつかない所有者不明土地は全体の2割程度に達し、土地の有効活用の弊害になっている。

法制審の総会で民法や不動産登記法などの改正案の要綱を示した。政府は3月に改正案を閣議決定する。今国会で成立させ、2023年度にも施行する。

 

※いまは相続が発生しても登記は義務ではない。申請しなくても罰則はない。

土地の価値が低かったり、手続きが面倒と感じたりした場合は放置する例がある。

死亡者の名義のまま年月を経れば、所有権の把握は難しくなる。

所有者が不明の空き家や荒れ地は処分ができず、周辺地の地価が下がったり景観が悪化したりする問題がある。

公共事業や民間の都市開発が一部の所有者不明地のために進まないケースも多い。

法務省によると所有者不明土地が発生する理由の66%は相続登記がないことで、34%が住所変更の不備だという。

改正案では取得を知ってから3年以内に登記を申請しなければ10万円以下の過料を科す。

住所変更や結婚などで氏名が変わった場合も、2年以内に申請しなければ5万円以下の過料になる。法人が本社の登記変更を届け出ない場合も過料の対象になる。

一連の罰則は、法施行後に新たに相続する人らが対象になる。施行前の相続などに伴う問題は一定の猶予期間を定めて適用する見通しだ。

登記手続きの負担は減らす。相続人のうち1人の申し出で登記ができる。10年間、届け出がなければ行政が法律で定める割合で遺産を配分する「法定相続」にする。

行政が住民基本台帳ネットワークで死亡者を把握し、登記に反映する仕組みもつくる。死亡者が名義人だった不動産の一覧情報を発行して親族が簡単に把握できるようにする。

土地やビルなどの建物の共有者が不明でも改修や売却をしやすくする。裁判所の確認を経て公告し、他の共有者の同意で利用目的を変更できる。短期間の賃貸借は共有者の過半数で決められる。

裁判所が管理人を選べば、不明の所有者に代わって土地や建物の売却もできる。代金は所有者が判明した場合に備えて供託する。商業地などでは共有者が分からず、有効利用ができない不動産も多い。

制度が広がれば都市開発が進む可能性がある。

今回の法改正が実現すれば、新たな所有者不明土地が生まれることを抑える効果はありそうだ。

一方で既に所有者が不明になっているへき地の山林などでは、公共事業や民間の開発の対象外なら、引き続き放置される可能性がある。

相続しても税や維持・管理費を負担に感じる人もいる。土地を放棄して国庫に返納できる制度もつくる。土壌汚染や建造物がなく、担保になっていないことなどが条件だ。

費用が必要でそのうち負担金は200平方メートルの宅地で80万円程度が目安になる。

有識者で構成する「所有者不明土地問題研究会」(座長・増田寛也元総務相)の推計によると16年時点で所有者不明土地は全国で410万ヘクタールに上り、九州本島の面積を上回る。

40年までに北海道本島に匹敵する720万ヘクタールに広がるとの試算もあった。