人間は口から老いて、口が原因で死ぬ

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※昨日、モーニングショーで話題になていましたので→ https://www.youtube.com/watch?v=G3HdXut4qkw

認知症や認知機能の低下には、さまざまな因子が関係しているといわれています。

なかでも近年注目を浴びているのは、歯や口の機能と認知症の関係です。予防はもちろん、認知症の進行を抑える意味でも「口の健康」は無視できないとされます。

※歯周病とは、歯周病菌に感染することによっておこる炎症性の病気です。

口の中の清掃が行き届かないと、歯と歯肉のすきまに細菌がたまり、それが炎症をおこして歯肉や歯槽骨を溶かします。

土台を失った歯はグラグラし、最終的には抜け落ちてしまうことも。現在、日本人が歯を失う原因の約半数は歯周病だといわれています。

歯周病の問題点は、単純に歯を失うというだけではありません。歯周病の原因菌や、炎症によって生じる物質が血管や食道などを通り、からだのあちこちに送り込まれます。

その結果、誤嚥性肺炎や血管性の病気、糖尿病、メタボリックシンドロームなど、さまざまな病気の原因や悪化要因になっているのです。

その一つが認知症です。←怖い・・・

認知症の原因となる病気はいくつもありますが、もっとも患者が多いのがアルツハイマー病です。短期記憶などをつかさどる脳の海馬などを中心に、大脳全体に萎縮がおこる病気です。

2013年、衝撃的な報告がありました。医学雑誌「ジャーナル・オブ・アルツハイマーズ・ディジーズ」に掲載された研究結果によると、アルツハイマー病の患者10人の脳を調べたところ、

うち4人の脳から歯周病の原因菌である「Pg菌」が見つかったのです。同じ年齢で認知症ではない10人の脳からは、一切検出されませんでした。

■脳のゴミ「老人斑」を歯周病菌が増やす!?

次に、これらのマウスの脳を調べてみました。すると歯周病菌を投与されたマウスの脳には、非投与のマウスより、多くの「老人斑」が見られたのです。

老人斑とは、アルツハイマー病の患者の脳に見られるシミのようなものです。アルツハイマー病の原因は、脳内に「アミロイドβ(ベータ)」というたんぱく質のゴミがたまることだと考えられていますが、これがたまってできるのが老人斑です。

「歯周病菌を投与していないマウスにも老人斑は見られましたが、投与したマウスに比べて大きさも数も、その違いは歴然としています」

さらに脳内を調べると、歯周病菌がつくりだす毒素も増加。脳の炎症も強くなり、免疫細胞が活性化して脳の神経細胞を攻撃し、神経伝達にも異常がおきていました。歯周病菌がアルツハイマー病を増悪させていることがわかったのです。

しかし脳には「血液脳関門」と呼ばれるゲートがあり、細菌やウイルスは通過できないはずです。なのになぜ歯周病菌は脳内に入り込めるのでしょう。

「Pg菌はもともと、歯肉や歯槽骨を分解してエサにする菌です。それが血管の中に入り込んだとき、血管の細胞も攻撃し、脳関門を脆弱にしているのだと考えられます」

■歯周病菌が脳内の酸化ストレスを増悪

ほかにも、アルツハイマー病と歯周病との関連性を示す研究があります。

日本大学の研究チームは、歯周病の原因菌によって作られる「酪酸」という物質に注目しました。健康なラットの歯肉に酪酸を注射したところ、脳内の各部位で酸化ストレスが上昇しました。

なかでも、記憶をつかさどる「海馬」でのストレスが顕著だったそうです。酸化ストレスのために、細胞や組織が悪影響を受け、認知機能が低下するのではないか、という仮説があります。

また、アルツハイマー病の脳神経細胞内で過剰に増える「タウ」と呼ばれるたんぱく質も、通常のラットに比べて4割以上も増加していました。

酪酸は、歯周病患者の歯周ポケットで多く見つかる物質。これが血液の中に入り込んで、血液脳関門を突破して脳内に入り込んでいったのではと考えられているのです。

■50代の歯周病が認知症の引き金に

疫学的な調査でも、歯周病罹患者がアルツハイマー病を発症するリスクが高いことがわかっています。

松下部長は「歯周病はアルツハイマー病を増悪させるが、原因となっているわけではない」と言います。

しかし、さまざまな観点から見て、歯周病を予防することが認知機能の低下を防ぐことになるのは確かだとも考えているそうです。だからこそ、早い段階で歯周病の治療をすべきと訴えます。

「アミロイドβの蓄積は、50歳前後から始まるといわれています。それから20年以上かけて老人斑ができ、脳神経が変性して、70代で認知症を発症するのが一般的な流れです。

同様に、歯周病に罹患する人が増えるのも40~50代。この時期から歯周病の予防をしっかりすることで、認知症の発症を遅らせたり、増悪することを防ぐことができるのではないでしょうか」

■歯がなくても注意!入れ歯にも菌がいる

では、すでに歯がない人は歯周病にはならないので、アルツハイマー病とは関係がないのでしょうか?

「そうではないと思います。歯周病菌は歯のない人からも見つかっています。舌苔(ぜったい)の中にすみついていたり、入れ歯のデンチャー(土台)にすみついたりします。入れ歯であっても口腔ケアは必要なのです」